《鐘楽のスフィンクス》:新たなる《聖別》
2012年10月29日 TCG全般 コメント (7)
新セット「ラヴニカへの回帰」が発売され、スタンダードがローテーションしてから約1カ月経った。
多くのプレイヤーがプレリでパックを開いて新しいカードを目にしてから今日まで、様々な答えを探している。
新しい「Delver」は何だ?
新しい「Caw-Blade」はなんだ?
面白い電波コンボはどの組み合わせから生まれる?
一番安くて強いデッキは何だ?
そして少なからぬ人々にとっては、このセットの中から必ず探さなくてはならないものがあった。重度のコントロールジャンキー、マナランプ愛好家、中速ビートマニア、アド厨。彼らはこれからの新スタンに備えて、前期スタンに存在していたあるも枠の代わりを探していた。つまり、シンプルに言えば、この一つの問いの答えを求めていたのである。
「「「新しいタイタンはどれだ?」」」
「ラヴニカへの回帰」からマジックをはじめた人に向けて解説しておくと、かつてマジックにはタイタンと呼ばれる巨大な体をもった神のごとき存在があったのだ。
タイタンは基本セットに加えられた最も希少性の高いレア、神話レアのサイクル(同じような効果を持ったカード群のこと)で、タイタンたちはマジックに存在する色5色に各一枚ずつ存在するサイクルだった。
その基本的なカード・テキストは以下のようなものである:
タイタンはその登場以後、様々なデッキで用いられることになった。
なぜ様々なデッキに投入されていたかといえばそれが強力だったからだ。
ではどこが強力なのだろうか?「ラヴニカへの回帰」にも強力な6マナのクリーチャーが存在する。それらとこのタイタンたちを比較しながら検討していこう。
ラヴニカへの回帰でも指折りの超強力クリーチャーである《大群のワーム》の強さは、場に出たときに仕事をするという点だ。
仮に戦場に出てすぐに《戦慄堀り》されたとしても、最低限場に5/5の巨大なワーム・トークンが残る。この強さはタイタン・サイクルも持っていた効果だ。
《大群のワーム》はこの黒いタイタン《墓所のタイタン》に似ている。
場に出たときトークンを生み出し、たった6マナで10点もの打点を相手の喉元に突きつける。1枚のカードで対処するには《終末》や《至高の評決》を打たなければならず、《戦慄掘り》や《究極の価格》では不十分だ。
「戦場に出たとき~する」という能力の正当後継種は、既にスタンダードの多くのイベントで上位に登場している。
《スラーグ牙》はタイタンより少し軽いが、場に出たとき5点ものライフを得ることが出来るし、一時期の「6マナ域はタイタンにあらずんばクリーチャーにあらず」な環境ですらタイタンを押しのけて採用された《ワームとぐろエンジン》のように場を離れると3/3のビーストトーウンを生み出す。
《静穏の天使》はタイタンより少し重いが、その能力は場に出たときに3点の火力を振り分けるだけの赤いタイタン、《業火のタイタン》より遥かに強力だ。
さてところで以前のスタンダードにはタイタンやワームとぐろエンジンの他によく使われた6マナの強力なクリーチャーが存在した。彼(彼女?)は場に出るだけでは仕事をせず、当時の多くの6マナのクリーチャーと同じく皆の目に晒された当初はほとんど注目されなかった。しかし、かのカードはアタックすら必要とせずじわじわと、場に存在することで圧倒的にゲームを支配する超強力なクリーチャーだったのである。
この青いスフィンクスはタイタンやワームや天使のように「戦場に出たとき」も「戦場を離れたとき」も「攻撃したとき」も何も相手を追い詰めるような仕事をしない。このクリーチャーがプレイヤーにもたらすのは「相手より1枚ずつ多くカードを引くこと」だけである。
相手を一撃で打ち倒す高打点?
場を覆い尽くすクリーチャーの軍勢?
どんなに除去されてもしぶとく生き残り続ける除去耐性?
そんなどのスペックよりもこの「相手より一枚多く引く」ことは優秀だったのだ。
しかしこの強力なスフィンクスもローテーションによってタイタンと同時にスタンダードを退場してしまった。
しかし「戦場に出たとき」の後継者を多く持ったタイタンたちのように、この「相手より1枚多く引く」スフィンクスにも実は後継種が存在するのである。
それは《鐘楽のスフィンクス》 だ
このスフィンクスも《聖別されたスフィンクス》同様正当な評価を受けていないように感じる。僕は実はこのスフィンクスは《聖別されたスフィンクス》を超えているんではないかとすら考えている。
<理由1>サイズ
同じマナコスト(4)(青)(青)で《聖別されたスフィンクス》は4/6、
《鐘楽のスフィンクス》は5/6。5>4。以上終わり。
<理由2>能力
カードを引く効果が《鐘楽のスフィンクス》は起動型能力であるため、能動的に使用できる。つまり、除去と1対1交換される可能性が《聖別されたスフィンクス》よりも低い。
このカードが不当に低く評価されている理由は、人々がこのテキストの効果の強さを測りかねているからだろう。
同じ名前の土地でないカードを2枚捨てる:カードを4枚引く。
この検討違い(?)はかのカードがはじめ評価されなかった理由に似ていると感じる。そのカードとはこのカードである:
皆初めはその変身する確率をあまりに厳しく見すぎていたが、実際には彼は環境を支配した。見た目よりも彼が早いターンに変身する確率は甘かったのだ。
《鐘楽のスフィンクス》の効果の話に戻ろう。
この効果はデッキの種類は選ぶが間違いなく強い。
別に専用構築しなくても各4枚積みの多い男らしいデッキならばこの能力を起動することは十分に可能だ。
もし出来なくても5/6の飛行は悲観するほどのサイズじゃない。《大群のワーム》も《スラーグ牙》も《静穏の天使》も止まるのだ。相手が《終末》や《戦慄掘り》を構えてないなら、同じカードが二枚手札に来るまでブロックし続けるのもそんなに悪くない。出てすぐに除去されそうなら同じカードが2枚来るまで耐えよう。上手くいけば3枚分のカードアドヴァンテージが得られる。
以上のように《鐘楽のスフィンクス》は構築段階でデッキを多少縛るものの、その能力は強力であり新たな《聖別されたスフィンクス》として新たなタイタンたちを制圧しうるポテンシャルがあると考える。この僕の肥大化した妄想が現実に具現化する日を信じている。さあ《鐘楽のスフィンクス》を信じよう!最後に自分が組んだ《鐘楽のスフィンクス》を用いた電波デッキを貼ってこの記事を閉めようと思う。
【青黒ハートレス鐘楽】
それではまた、別記事で。
いつか《鐘楽のスフィンクス》が環境を席巻する日が来ますように。
多くのプレイヤーがプレリでパックを開いて新しいカードを目にしてから今日まで、様々な答えを探している。
新しい「Delver」は何だ?
新しい「Caw-Blade」はなんだ?
面白い電波コンボはどの組み合わせから生まれる?
一番安くて強いデッキは何だ?
そして少なからぬ人々にとっては、このセットの中から必ず探さなくてはならないものがあった。重度のコントロールジャンキー、マナランプ愛好家、中速ビートマニア、アド厨。彼らはこれからの新スタンに備えて、前期スタンに存在していたあるも枠の代わりを探していた。つまり、シンプルに言えば、この一つの問いの答えを求めていたのである。
「「「新しいタイタンはどれだ?」」」
「ラヴニカへの回帰」からマジックをはじめた人に向けて解説しておくと、かつてマジックにはタイタンと呼ばれる巨大な体をもった神のごとき存在があったのだ。
タイタンは基本セットに加えられた最も希少性の高いレア、神話レアのサイクル(同じような効果を持ったカード群のこと)で、タイタンたちはマジックに存在する色5色に各一枚ずつ存在するサイクルだった。
その基本的なカード・テキストは以下のようなものである:
[xxxxx] Titan / [xx]のタイタン (4)(?)(?)
クリーチャー — 巨人(Giant)
[キーワード能力]
[xx]のタイタンが戦場に出るか攻撃するたび、[xxxxx]してもよい。
6/6
タイタンはその登場以後、様々なデッキで用いられることになった。
なぜ様々なデッキに投入されていたかといえばそれが強力だったからだ。
ではどこが強力なのだろうか?「ラヴニカへの回帰」にも強力な6マナのクリーチャーが存在する。それらとこのタイタンたちを比較しながら検討していこう。
Armada Wurm / 大軍のワーム (2)(緑)(緑)(白)(白)
クリーチャー — ワーム(Wurm)
トランプル
大軍のワームが戦場に出たとき、トランプルを持つ緑の5/5のワーム(Wurm)・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。
5/5
ラヴニカへの回帰でも指折りの超強力クリーチャーである《大群のワーム》の強さは、場に出たときに仕事をするという点だ。
仮に戦場に出てすぐに《戦慄堀り》されたとしても、最低限場に5/5の巨大なワーム・トークンが残る。この強さはタイタン・サイクルも持っていた効果だ。
Grave Titan / 墓所のタイタン (4)(黒)(黒)
クリーチャー — 巨人(Giant)
接死
墓所のタイタンが戦場に出るか攻撃するたび、黒の2/2のゾンビ(Zombie)・クリーチャー・トークンを2体戦場に出す。
6/6
《大群のワーム》はこの黒いタイタン《墓所のタイタン》に似ている。
場に出たときトークンを生み出し、たった6マナで10点もの打点を相手の喉元に突きつける。1枚のカードで対処するには《終末》や《至高の評決》を打たなければならず、《戦慄掘り》や《究極の価格》では不十分だ。
「戦場に出たとき~する」という能力の正当後継種は、既にスタンダードの多くのイベントで上位に登場している。
《スラーグ牙》はタイタンより少し軽いが、場に出たとき5点ものライフを得ることが出来るし、一時期の「6マナ域はタイタンにあらずんばクリーチャーにあらず」な環境ですらタイタンを押しのけて採用された《ワームとぐろエンジン》のように場を離れると3/3のビーストトーウンを生み出す。
《静穏の天使》はタイタンより少し重いが、その能力は場に出たときに3点の火力を振り分けるだけの赤いタイタン、《業火のタイタン》より遥かに強力だ。
さてところで以前のスタンダードにはタイタンやワームとぐろエンジンの他によく使われた6マナの強力なクリーチャーが存在した。彼(彼女?)は場に出るだけでは仕事をせず、当時の多くの6マナのクリーチャーと同じく皆の目に晒された当初はほとんど注目されなかった。しかし、かのカードはアタックすら必要とせずじわじわと、場に存在することで圧倒的にゲームを支配する超強力なクリーチャーだったのである。
Consecrated Sphinx / 聖別されたスフィンクス (4)(青)(青)
クリーチャー — スフィンクス(Sphinx)
飛行
いずれかの対戦相手がカードを1枚引くたび、あなたはカードを2枚引いてもよい。
4/6
この青いスフィンクスはタイタンやワームや天使のように「戦場に出たとき」も「戦場を離れたとき」も「攻撃したとき」も何も相手を追い詰めるような仕事をしない。このクリーチャーがプレイヤーにもたらすのは「相手より1枚ずつ多くカードを引くこと」だけである。
相手を一撃で打ち倒す高打点?
場を覆い尽くすクリーチャーの軍勢?
どんなに除去されてもしぶとく生き残り続ける除去耐性?
そんなどのスペックよりもこの「相手より一枚多く引く」ことは優秀だったのだ。
しかしこの強力なスフィンクスもローテーションによってタイタンと同時にスタンダードを退場してしまった。
しかし「戦場に出たとき」の後継者を多く持ったタイタンたちのように、この「相手より1枚多く引く」スフィンクスにも実は後継種が存在するのである。
それは《鐘楽のスフィンクス》 だ
Sphinx of the Chimes / 鐘楽のスフィンクス (4)(青)(青)
クリーチャー — スフィンクス(Sphinx)
飛行
同じ名前の土地でないカードを2枚捨てる:カードを4枚引く。
5/6
このスフィンクスも《聖別されたスフィンクス》同様正当な評価を受けていないように感じる。僕は実はこのスフィンクスは《聖別されたスフィンクス》を超えているんではないかとすら考えている。
<理由1>サイズ
同じマナコスト(4)(青)(青)で《聖別されたスフィンクス》は4/6、
《鐘楽のスフィンクス》は5/6。5>4。以上終わり。
<理由2>能力
カードを引く効果が《鐘楽のスフィンクス》は起動型能力であるため、能動的に使用できる。つまり、除去と1対1交換される可能性が《聖別されたスフィンクス》よりも低い。
このカードが不当に低く評価されている理由は、人々がこのテキストの効果の強さを測りかねているからだろう。
同じ名前の土地でないカードを2枚捨てる:カードを4枚引く。
この検討違い(?)はかのカードがはじめ評価されなかった理由に似ていると感じる。そのカードとはこのカードである:
Delver of Secrets / 秘密を掘り下げる者 (青)
クリーチャー — 人間(Human) ウィザード(Wizard)
あなたのアップキープの開始時に、あなたのライブラリーの一番上のカードを見る。あなたはそのカードを公開してもよい。これによりインスタント・カードかソーサリー・カードが公開された場合、秘密を掘り下げる者を変身させる。
1/1
皆初めはその変身する確率をあまりに厳しく見すぎていたが、実際には彼は環境を支配した。見た目よりも彼が早いターンに変身する確率は甘かったのだ。
《鐘楽のスフィンクス》の効果の話に戻ろう。
この効果はデッキの種類は選ぶが間違いなく強い。
別に専用構築しなくても各4枚積みの多い男らしいデッキならばこの能力を起動することは十分に可能だ。
もし出来なくても5/6の飛行は悲観するほどのサイズじゃない。《大群のワーム》も《スラーグ牙》も《静穏の天使》も止まるのだ。相手が《終末》や《戦慄掘り》を構えてないなら、同じカードが二枚手札に来るまでブロックし続けるのもそんなに悪くない。出てすぐに除去されそうなら同じカードが2枚来るまで耐えよう。上手くいけば3枚分のカードアドヴァンテージが得られる。
以上のように《鐘楽のスフィンクス》は構築段階でデッキを多少縛るものの、その能力は強力であり新たな《聖別されたスフィンクス》として新たなタイタンたちを制圧しうるポテンシャルがあると考える。この僕の肥大化した妄想が現実に具現化する日を信じている。さあ《鐘楽のスフィンクス》を信じよう!最後に自分が組んだ《鐘楽のスフィンクス》を用いた電波デッキを貼ってこの記事を閉めようと思う。
【青黒ハートレス鐘楽】
4《水没した地下墓地》
11《島》
6《沼》
3《幽霊街》
-土地(24)-
4《ボーラスの占い師》
4《ボーラスの信奉者》
4《地下牢の霊》
4《クローン》
4《邪悪な双子》
4《鐘楽のスフィンクス》
-クリーチャー(24)-
4《心なき召喚》
4《熟慮》
4《禁忌の錬金術》
-呪文(12)-
3《雲散霧消》
4《否認》
4《強迫》
4《研究室の偏執狂》
-サイドボード(15)-
それではまた、別記事で。
いつか《鐘楽のスフィンクス》が環境を席巻する日が来ますように。
コメント
私は言われて初めてカードの強さに(弱さも)気付くときが往往にしてあるのですが、それもふまえて、序盤のタイタンの文章で《鐘楽のスフィンクス》がとても魅力的に感じられました。
これはスフィンクス4枚集めてデッキ組まねば! と思わせられますw
サンプルレシピもいいですね。引きたいキーカードを引いてこれて、複数枚引いてきたときに弱いエンチャを有効札に変えられるのは大きいです。
このレシピだと占い師が弱そうなので、クリーチャーを減らして除去を増やすか、クリーチャーを入れ替えたいですね。
私なら、クローン・地下牢・ボーラスの信奉者抜いて、・悲劇的な過ち・究極の価格・脅迫
入れてコントロール風にするかなぁ。ここら辺は好みですかねぇ。
ヘイヴングルの死者やマナの花も面白そう。いい記事をありがとうございました。
チャームで死んじゃう
初めまして、いらみみと言います
若干日記がトンでますがよろしくです(・∀・)
お褒めいただきありがとうございますううううううう!!!
長目の文はどうしても書き方が硬くなってしまうので、うまく伝わってるか心配でしたが安心しましたヽ(;▽;)ノ
デッキはとりあえずの叩き台として晒したのでどんどんいじって鐘楽を広めてください!w
>ギス@宇宙海賊所属さん
セレチャぐぬぬ。。。
一応晒したデッキではハートレスで回避しようとしておりますー
>いらみみさん
リンクありがとうございます!(´▽`)
お初にお目にかかりますみみみと申します。
こちらこそよろしくです!
思わず《鐘楽のスフィンクス》が使いたくなる記事でした!《心なき召喚》良いですね~4マナ4/5飛行だと能力なくても高スペッククリーチャーなのでそのまま殴り倒せそうwサイドの《研究室の偏執狂》が素敵です!
素敵ですね〜
リンクありがとうございます!
サイドの偏執狂4枚はちょっとやりすぎかもですw
主な勝ち手段はスフィンクスコピーによる制圧での殴り勝ちです!
>月夜見さん
連鎖したときの楽しさ(と相手にした時の)ウザさは異常ですw