スタンダード分析:《スラーグ牙》
2013年7月25日 TCG全般 コメント (2)・スタンダード分析:前環境のおさらいとSCGの結果に見る新環境考察
(http://mimimi1987.diarynote.jp/201307230455447825/)
・スタンダード分析:《炎樹族の使者》
(http://mimimi1987.diarynote.jp/201307240039298536/)
今回も引き続いて前回と同じく、各アーキタイプの中心となるキーカード
を取り上げ、それを元に各アーキタイプについて考察を行います。
今回取り上げるカードは環境最強のアドバンテージ含有生物であるこの
クリーチャーカードです。
■ケース1:ジャンドコントロール―マナカーブ上での強さ―
《スラーグ牙》単体の優秀な潜在能力を引き出すため、マナカーブに沿った
純粋なパワーカードの連打という戦略を選んだのがジャンドコントロールです。
すなわち《遥か見》《高原の狩りの達人》《スラーグ牙》というこのデッキの
骨子となる理想の展開。これこそがジャンドコントロールを規定する背骨の部分と
いえます。
この理想通りの展開は他のアーキタイプを容易に否定する破壊力を持っています。
圧倒的なライフゲイン量、展開力、生物のサイズ、いずれも申し分ありません。
唯一こうした大振りな展開を阻害できるはずのカウンター戦略も《魂の洞窟》の
前にはひとたまりもありません。
こうした背骨部分―すなわちマナ加速から中盤以降のパワーカード連打―を除去
呪文によってサポートするという単純な構造がジャンドコントロールの本質です。
終盤に腐るはずの豊富なマナ加速呪文でさえも、《ケッシグの狼の地》や《忌む
べきもののかがり火》などののX呪文によって無駄になりません。こうした最序盤
から加速し中盤から終盤にかけての絶対的な優位を握るのがジャンドコントロール
の基本戦術です。
■ケース2:ドランリアニメイト―ブリンク・シナジー―
前述のジャンドコントロールは異なって、《スラーグ牙》の潜在能力を生かすため
《修復の天使》という相棒を選んだのがドランリアニメイトです。
そもそもジャンドコントロールのようにマナカーブに沿った構築を目指すのであれば、
《スラーグ牙》の後に《修復の天使》を展開することは理想の展開に逆行しているよ
うに見えます。それでは何故、ドランリアニメイトではこのような不可解な逆順展開
が行われているのでしょうか?
その答えはマナ・クリーチャーと《掘葬の儀式》による展開のジャンプアップに
あります。
マナ・クリーチャーと《掘葬の儀式》は共通して早いターンに重量級クリーチャー
を展開することを目的としています。例えば《アヴァシンの巡礼者》《根囲い》
《掘葬の儀式》フラッシュバック《静穏の天使》といったドラン・リアニメイト
の理想の展開は本来のマナカーブのあるべき姿とはかけ離れています。
例えば上述したジャンドの理想の展開と比較してみましょう。ジャンドの理想の展開
では2ターン目以降に2、4、5マナのカードを展開しています。
一方ドランリアニメイトの理想の展開では、2ターン目以降に実質2、5、7マナの
カードを展開していることになります。
このような展開のジャンプアップがジャンドのようなマナカーブの順序通りの展開で
はなく、《スラーグ牙》から《修復の天使》のような逆順の展開を可能とするのです。
次に本題の《修復の天使》と《スラーグ牙》のシナジーについてです。
この2体のクリーチャーの相乗効果によって何が起きるかについて解説します。
《修復の天使》の効果の対象に《スラーグ牙》を取ることによって、
インスタントタイミングで《スラーグ牙》が場に出た5点のライフに加え追加の
5点のライフと飛行を含んだ11点のクロックを得ます。
これは前述したジャンドの理想展開、すなわち《高原の狩りの達人》《スラーグ牙》
展開によって得られる7点のライフゲイン、9点の地上クロックを大きく上回ります。
更にこのブリンク能力が《スラーグ牙》に向けられた除去に対して回避を成功させて
いた場合、ほぼゲームは決定します。それほどまでにこのシナジーは相手との大きな
差を生み出します。中速以降のコントロールの単体除去を避けるインスタントタイミ
ングのクロック生成とビートダウンを否定する大量ライフゲイン、そして展開のジャ
ンプアップによってドランリアニメイトは前環境の王者と言える活躍を見せました。
■ケース3:GWアグロ―ライフゲイン・シナジー―
M14のリリースに伴って追加された強力なカード《テューンの大天使》は、これまで
ビートダウンへの対抗策に過ぎなかったライフゲインというキーワードにより大きな
付加価値をもたらしました。自軍の強化です。このライフゲインボーナスの誘発と
それを享受するための場持ちの良さから《スラーグ牙》はグッドスタッフとして
このデッキに加わりました。
また《テューンの大天使》と同じくM14で加わり、能力にライフゲインを含む
《漁る軟泥》は存在するだけで墓地を利用する各デッキへの強烈なメタカードになります。
特にリアニメイトに対してはジャンプアップの阻止に加え、軽量除去を持たない
リアニメイトには致命的な軽量で大きいクロックを生成してくれます。
《スラーグ牙》と同じく場持ちの良さから採用される《復活の声》は言わずもがな
インスタントタイミングで動くデッキに対して強烈なメタカードとして働きます。
ここでも前述したリアニメイトの《修復の天使》+《スラーグ牙》の最高の行動を
阻害していることがわかります。
以上のように現状、GWアグロは一種のメタ・ビートダウンとして構成されています。
相手の行動を阻害する優秀なクリーチャーを展開しつつ、マナクリーチャーによる
ジャンプアップと《テューンの大天使》によるクロックの加速によって相手に何も
させずに勝つ。グッドスタッフとして《スラーグ牙》を利用している点では
ジャンドコントロールに近い運用方法ですが、ライフゲインという行動を活かして
より強く《スラーグ牙》を使おうとしていることが分かります。
■まとめ
環境が進むにつれ《スラーグ牙》単体のスペックからシナジーを活かす方向に
プレイヤーが工夫を講じてきたことが分かりました。中盤のビッグアクションで
ある《スラーグ牙》は対ビートダウンには守りから攻めへ、対コントロールには
加速から連打への分岐点となるカードです。このビッグアクションを加速や妨害を
通じて如何に通すかに着眼して戦略を立てればより勝つための道筋がはっきりする
と思います。
最後に《スラーグ牙》デッキを選択するメリット・デメリットに着目してまとめます。、
□メリット:パワーカードにより制圧・挽回が可能
いつでもデッキから強いカードが引ける。
高速デッキと比較して安定した回りが期待でき、戦略を立てやすい。
□デメリット:徹底的に除去やカウンターで対応されてしまうと息切れしてしまう。
大振りな行動が多いので、小回りが効かない。
同型ではパワー勝負になりがちなので、膠着することがある。
(http://mimimi1987.diarynote.jp/201307230455447825/)
・スタンダード分析:《炎樹族の使者》
(http://mimimi1987.diarynote.jp/201307240039298536/)
今回も引き続いて前回と同じく、各アーキタイプの中心となるキーカード
を取り上げ、それを元に各アーキタイプについて考察を行います。
今回取り上げるカードは環境最強のアドバンテージ含有生物であるこの
クリーチャーカードです。
スラーグ牙 (4)(緑)
クリーチャー ビースト(Beast)
スラーグ牙が戦場に出たとき、あなたは5点のライフを得る。
スラーグ牙が戦場を離れたとき、緑の3/3のビースト(Beast)・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。
5/3
■ケース1:ジャンドコントロール―マナカーブ上での強さ―
《スラーグ牙》単体の優秀な潜在能力を引き出すため、マナカーブに沿った
純粋なパワーカードの連打という戦略を選んだのがジャンドコントロールです。
すなわち《遥か見》《高原の狩りの達人》《スラーグ牙》というこのデッキの
骨子となる理想の展開。これこそがジャンドコントロールを規定する背骨の部分と
いえます。
□例)ジャンドコントロールの理想的展開
《遥か見》マナ加速
↓
《高原の狩りの達人》ビートダウンの足止め
↓
《スラーグ牙》優位の確立
この理想通りの展開は他のアーキタイプを容易に否定する破壊力を持っています。
圧倒的なライフゲイン量、展開力、生物のサイズ、いずれも申し分ありません。
唯一こうした大振りな展開を阻害できるはずのカウンター戦略も《魂の洞窟》の
前にはひとたまりもありません。
こうした背骨部分―すなわちマナ加速から中盤以降のパワーカード連打―を除去
呪文によってサポートするという単純な構造がジャンドコントロールの本質です。
終盤に腐るはずの豊富なマナ加速呪文でさえも、《ケッシグの狼の地》や《忌む
べきもののかがり火》などののX呪文によって無駄になりません。こうした最序盤
から加速し中盤から終盤にかけての絶対的な優位を握るのがジャンドコントロール
の基本戦術です。
■ケース2:ドランリアニメイト―ブリンク・シナジー―
前述のジャンドコントロールは異なって、《スラーグ牙》の潜在能力を生かすため
《修復の天使》という相棒を選んだのがドランリアニメイトです。
そもそもジャンドコントロールのようにマナカーブに沿った構築を目指すのであれば、
《スラーグ牙》の後に《修復の天使》を展開することは理想の展開に逆行しているよ
うに見えます。それでは何故、ドランリアニメイトではこのような不可解な逆順展開
が行われているのでしょうか?
その答えはマナ・クリーチャーと《掘葬の儀式》による展開のジャンプアップに
あります。
マナ・クリーチャーと《掘葬の儀式》は共通して早いターンに重量級クリーチャー
を展開することを目的としています。例えば《アヴァシンの巡礼者》《根囲い》
《掘葬の儀式》フラッシュバック《静穏の天使》といったドラン・リアニメイト
の理想の展開は本来のマナカーブのあるべき姿とはかけ離れています。
例えば上述したジャンドの理想の展開と比較してみましょう。ジャンドの理想の展開
では2ターン目以降に2、4、5マナのカードを展開しています。
一方ドランリアニメイトの理想の展開では、2ターン目以降に実質2、5、7マナの
カードを展開していることになります。
□例)ドランリアニメイトの理想の展開
《東屋のエルフ》マナ加速
↓
《根囲い》墓地肥やし兼土地確保
↓
《掘葬の儀式》→《静穏の天使》高マナ域のジャンプアップ
このような展開のジャンプアップがジャンドのようなマナカーブの順序通りの展開で
はなく、《スラーグ牙》から《修復の天使》のような逆順の展開を可能とするのです。
次に本題の《修復の天使》と《スラーグ牙》のシナジーについてです。
この2体のクリーチャーの相乗効果によって何が起きるかについて解説します。
《修復の天使》の効果の対象に《スラーグ牙》を取ることによって、
インスタントタイミングで《スラーグ牙》が場に出た5点のライフに加え追加の
5点のライフと飛行を含んだ11点のクロックを得ます。
これは前述したジャンドの理想展開、すなわち《高原の狩りの達人》《スラーグ牙》
展開によって得られる7点のライフゲイン、9点の地上クロックを大きく上回ります。
更にこのブリンク能力が《スラーグ牙》に向けられた除去に対して回避を成功させて
いた場合、ほぼゲームは決定します。それほどまでにこのシナジーは相手との大きな
差を生み出します。中速以降のコントロールの単体除去を避けるインスタントタイミ
ングのクロック生成とビートダウンを否定する大量ライフゲイン、そして展開のジャ
ンプアップによってドランリアニメイトは前環境の王者と言える活躍を見せました。
■ケース3:GWアグロ―ライフゲイン・シナジー―
M14のリリースに伴って追加された強力なカード《テューンの大天使》は、これまで
ビートダウンへの対抗策に過ぎなかったライフゲインというキーワードにより大きな
付加価値をもたらしました。自軍の強化です。このライフゲインボーナスの誘発と
それを享受するための場持ちの良さから《スラーグ牙》はグッドスタッフとして
このデッキに加わりました。
また《テューンの大天使》と同じくM14で加わり、能力にライフゲインを含む
《漁る軟泥》は存在するだけで墓地を利用する各デッキへの強烈なメタカードになります。
特にリアニメイトに対してはジャンプアップの阻止に加え、軽量除去を持たない
リアニメイトには致命的な軽量で大きいクロックを生成してくれます。
《スラーグ牙》と同じく場持ちの良さから採用される《復活の声》は言わずもがな
インスタントタイミングで動くデッキに対して強烈なメタカードとして働きます。
ここでも前述したリアニメイトの《修復の天使》+《スラーグ牙》の最高の行動を
阻害していることがわかります。
□例)GWアグロの理想展開
《アヴァシンの巡礼者》マナ加速
↓
《漁る軟泥》各デッキへのメタクリーチャー展開
↓
《テューンの大天使》全体強化クリーチャー
↓
《スラーグ牙》能力誘発、打点向上
以上のように現状、GWアグロは一種のメタ・ビートダウンとして構成されています。
相手の行動を阻害する優秀なクリーチャーを展開しつつ、マナクリーチャーによる
ジャンプアップと《テューンの大天使》によるクロックの加速によって相手に何も
させずに勝つ。グッドスタッフとして《スラーグ牙》を利用している点では
ジャンドコントロールに近い運用方法ですが、ライフゲインという行動を活かして
より強く《スラーグ牙》を使おうとしていることが分かります。
■まとめ
環境が進むにつれ《スラーグ牙》単体のスペックからシナジーを活かす方向に
プレイヤーが工夫を講じてきたことが分かりました。中盤のビッグアクションで
ある《スラーグ牙》は対ビートダウンには守りから攻めへ、対コントロールには
加速から連打への分岐点となるカードです。このビッグアクションを加速や妨害を
通じて如何に通すかに着眼して戦略を立てればより勝つための道筋がはっきりする
と思います。
最後に《スラーグ牙》デッキを選択するメリット・デメリットに着目してまとめます。、
□メリット:パワーカードにより制圧・挽回が可能
いつでもデッキから強いカードが引ける。
高速デッキと比較して安定した回りが期待でき、戦略を立てやすい。
□デメリット:徹底的に除去やカウンターで対応されてしまうと息切れしてしまう。
大振りな行動が多いので、小回りが効かない。
同型ではパワー勝負になりがちなので、膠着することがある。
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